IT系フリーランスの日記

大まかにIT系と呼ばれる仕事を自営業として営んでいる者の日記です

モンティホール問題 その2 解説編 前編

前回はモンティホール問題でなぜ選択を変えた方が有利になるかについて詳しい説明をしませんでした。

自分が理解する過程をなぞる意味も込めて、説明を試みたいと思います。

まずモンティホール問題についての説明ですが、

「プレーヤーの前に閉まった3つのドアがあって、1つのドアの後ろには景品の新車が、2つのドアの後ろには、はずれを意味するヤギがいる。プレーヤーは新車のドアを当てると新車がもらえる。プレーヤーが1つのドアを選択した後、司会のモンティが残りのドアのうちヤギがいるドアを開けてヤギを見せる。
ここでプレーヤーは、最初に選んだドアを、残っている開けられていないドアに変更してもよいと言われる。プレーヤーはドアを変更すべきだろうか?」

というものでした。
イラストで示すと、このようになります。
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この状態でプレイヤーはドアをどれか1つ選び、そのあとで残されたドアのうち司会者のモンティがはずれのドアを必ず開けます。

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その後、司会者のモンティはプレーヤーに「ドアを変更してもよい。そのまま開いてもよい」といいます。

この時点で、プレイヤーがより高い確率で賞品の新車を当てたいと思った場合、選択を変更する方がよいのか、それとも変更しない方がよいのか、それともどちらでも確率は同じなのか、という問題です。

まず、選択肢が2つでその内当たりが1つであるから選択を変更してもしなくてもあたる確率は1/2というのが、大変多くの人の直感的な答えです。
深く考えても1/2に見えるかも知れません。

ここで、確率について思い出してみましょう。
例えば、このような問題を考えます。

サイコロを2回振ったとして出た目の合計が7になる確率は何%か?

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この場合、「場合の数」というものを考えます。

サイコロを2回振る場合、何パターンの結果があるのか?というパターンの数です。

サイコロを振った場合、1~6の目のうちどれかが出ます。7の目が出たり、どの目も出なかったりする事はありません。

サイコロがどこかへ飛んでいってしまって出た目が分からない、というのも除外します。
また、1回目にサイコロを振ったときにサイコロにヒビが入り、2回目に出る目に影響するということもないものとします。

1回目にサイコロを振ったときの場合の数(パターン)は6通りで、2回目にサイコロを振ったときも6通りですので、6*6=36通りのパターンがあるはずです。

その内サイコロの目の和が7になるパターンは・・・・
(1,6)(2,5)(3,4)(4,3)(5,2)(6,1)
の6通りです。

ここで、左側にあるのが最初に出た目、右にあるのが2回目に出た目です。

36通りあるパターンのうち、6パターンが「足して7になる場合の数」です。

そして、どのパターンが起こる事も「同様に確からしい」ため、16.66%(=1/6)と計算できます。


なにやら胡散臭い表現ですが、どのパターンになることも同じような確からしさでありうる、ということです。

つまり、サイコロが実はいかさまサイコロで4の目だけ出やすい、といったことはなく、上で述べたように一回目にサイコロを振るときも2回目に振るときも出る目はそれぞれ1/6であるという事です。

では話しをモンティホール問題に戻しましょう。

ここで司会者であるモンティは正解を知っていたのか?

という事が気になる方もいらっしゃるかも知れません。

ただ、モンティが答えを知っているかどうか、結論を言うと問題になりません。

モンティが当たりを知っている場合はモンティが当たりのドアを避けてはずれを選びますが、モンティが答えを知っていなくて当たりのドアを開けてしまうわけには行かないため、モンティが答えを知らない場合は、

「もしモンティが当たりのドアを選んでしまったら、裏で番組スタッフが分からないようにはずれのヤギと交換する」

という手順を踏みますが、どちらの場合でも、モンティが当たりを除外するか、スタッフが当たりを除外するか、番組側の選択であって本質に違いはありません。

全部で何パターンあるでしょうか?

まず、プレーヤーが最初の選択で3つのドアのうちどれを引くか、3つありますのでこの時点で3パターンです。

さらにそれぞれの場合にその先の場合の数を数えてみましょう。

ケースAで最初に当たりのドアを選び、モンティが2つのはずれのドア(はずれ1・はずれ2)うちどちらかを無作為に決める場合

ケースBで最初にはずれ1のドアを選び、モンティが当たりを避けてはずれ2のドアを開ける場合

ケースCで最初にはずれ2のドアを選び、モンティが当たりを避けてはずれ1のドアを開ける場合


次にケースAではプレーヤーが選ばなかった、2つある「はずれ1」と「はずれ2」のうちモンティがどちらを開けるかで更に、A-1とA-2に分かれます。

従って、以下のようなパターンがあります。

  • ケースA-1

プレーヤーが最初の選択で当たりのドアを選び、
残ったはずれのドアのうち「はずれ1」を開けるパターン

  • ケースA-2

プレーヤーが最初の選択で当たりのドアを選び、
残ったはずれのドアのうち「はずれ2」を開けるパターン


これは、モンティがドアを開けた時点のパターンで、この後にプレーヤーがドアを再度選択するので、
それぞれのパターンが更に「最初のドアをそのまま選ぶ」ケースと「モンティが開けなかったドアに変える」パターンに分かれます。


これで最終的にプレーヤーがドアの選択をするときとしないときを含めて、パターンとしては全て揃いました。

合計で8通り、その内プレーヤーがドアを変更したのは4通り、変更しなかったのも4通りです。

樹形図でこの場合分けを示すと以下のようになります。

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プレーヤーが最初選んだドアからモンティが開けなかったドアに変更した、「変える」の選択肢に注目して下さい。

プレーヤーが変更する場合の数は4パターン、その内当たりを引くのは2パターン。

あれ!?やっぱり1/2!

2沢で、どっちかが当たりでどっちかがはずれなら1/2に決まってます。


いや・・ちょっと待って下さい。

※イラストにはフリー素材の「いらすとや」さんと
イラストポップ」さんの素材を利用させていただきました。
かわいらしい素材が豊富にそろっており、大変助かりました。