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IT関係の個人事業主の徒然なる日記

大まかにIT系と呼ばれる仕事を自営業として営んでいる者の日記です

日本の電力価格の将来

2014年7月28日号の日経ビジネスの表紙に「電力暴騰-企業生き残りへ、4つの選択」という見出しが躍る。

原子力発電所の稼働ゼロの夏が半世紀ぶりに訪れたそうだ。
震災前と比べて、東電の場合で企業向けの電力価格が4割上昇したという。
家庭向けの電力価格は、為替の影響などで上昇してはいるが企業向けほど大幅には上昇していない。

原発がゼロの状態でこの電力価格なのだからこれ以上上がることはないだろうと思いたいところだが、どうやら事はそう簡単ではないようだ。

一時的に原発が再稼働したとしても震災前の稼働数54基の内、再稼働にこぎ着けられるのはせいぜい13基程度だという。

もっとも、再稼働に成功しても政府は原子力発電所の寿命を40年と定めており、40年を過ぎた原発の継続稼働には、現在停止している原発の再稼働以上の厳しい審査や対策が義務づけられており、随分と将来の話ではあるが、2049年を目処に日本から原発は姿を消すだろうというのが同紙の見立てだ。

廃炉費用や再生エネルギーの普及、そのための再生エネルギーの高値買い取りなど長期的なコストも相まって、電力会社は自己資本をどんどん減らしている。
2014年3月期には3期連続の最終赤字を計上しており、老朽化した火力発電所の建て替えや新設にかかる費用なども膨大なコストとなって電力会社の黒字化の目処はたちづらい。

財務上は破綻間近の状態となっており、破綻を回避し経営の維持をしようとすれば長期的には電力料金は震災前の約2倍する必要もあると述べている。

財務状態が悪くなっても金融機関が融資を止めれば電力会社は経営破綻してしまうため、おそらく金融機関は融資を続けざるを得ないだろう。
場合によっては公的資金の注入や、国有化という話しも想像できる。

しかし、電力会社に公的資金を注入するのはまずいだろう。電気をたくさん使おうが少なく使おうが、負担の差が少なくなってしまうし、それでは節電の意識が薄れてしまう。
まして国有化などはもってもの他だ。

債務超過の企業に融資をするということは金融機関にお金を預けている国民の負担にもつながるし、経営が改善しなければ根本的な解決策にはならない。


本誌では国民感情も踏まえた上で長期的(2050年頃までには)に原発が姿を消すのもやむを得ないとの前提で、電力会社や企業(もちろん、企業で働いている人達や彼らが養っている人達、ひいては彼らが納めている税金の恩恵を受けている人を含めれば無関係な人はほとんどおるまい)が生き残っていくためにはどうすべきかを論じている。

電力会社の再編や、人件費の削減はもちろんのこと様々な努力も必要だが、石油危機の二の舞を防ぐためにも電力を安定して確保し続けるための具体策を本誌では4つのパターンとしてあげている。

まず省エネルギーを更に徹底した技術として磨きを掛けるというもの。
例としてある企業が3Dプリンターの導入で電力消費を10分の1に減らせた事例を紹介している。

次に電力会社に頼らない(頼ったとしても、電力の売りと買いで均衡を保ち電力コストを0にする)という方法だ。

また、電力の調達先を多様化し、燃料電池などの使用も視野に入れてリスクを軽減するという提案も紹介している。

最後に、ドイツを例に挙げ、電気料金の値上げのしわ寄せを家庭向けの電力へ転嫁するという例も紹介している。


しかし、家庭向け電力のむやみな引き上げは家計に負担をもたらし消費者心理を冷やすだろうし、景気への悪影響を考慮すると程度の差によっては受け入れがたく感じる。

また、企業が自前で発電してもその発電方法が化石燃料に依るものである限り温暖化による大規模な気候変動というもう一つの、しかしながらとても無視できない問題もあるように思う。

エネルギーの自給率の低い日本で、産業の活性化を阻害せずにいかにエネルギーを確保するか、核融合炉や燃料電池など、技術の面での進歩にも期待が大いに集まるところだが、そればかりに期待を寄せても魔法のような技術がそう簡単に生まれるわけではない。

日本の産業を生き残らせ、経済の再生を果たし、国を平和裏の内に存続させるために何をすべきか、様々な問題を天秤に掛けながら難しい選択が迫られそうだ。